穴つるし






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2010年05月08日(Sat)
穴つるし
次々と潜入してくる宣教師は、殉教を望んでいた。このように殉教すべく行動している人を思い止まらせるには、どうしたらよいか。江戸幕府は、試行錯誤の末、穴つるしという処刑法を考案する。手足を縛って、穴の中に逆さに吊っておく。周りからは足だけが見える。長く苦しむのみならず、滑稽なもがき方をするので、殉教の荘厳さがない。これにより、宣教師への人心は離れ、彼らが来日することもなくなる。(参考、柄谷行人「坂口安吾とフロイト」)
幕府としては、宣教師の処刑は、公開しなければならない。非公開だと、かえって想像を掻き立てる。もちろん、安楽に死なせてはならない。それでは見せしめにならない。しかし、受苦へのまなざしは、権力への畏怖を生むとともに、受難への崇拝をも生む。死に意味を付与してしまう。それが次の殉教を招く。これは避けなければならない。そこで、足だけ見せる方法を考案したのだろう。これは、苦しいことは疑いないが、たしかに滑稽な情景であり、笑いを誘う。死に意味を与えようがない。穴つるしは、死をいかに非意味なものにできるかという思考実験としては、優れている。
四つ裂きや火あぶりは、王の権力を誇示するという命を奪う以上の意味を持っていた。しかし、ギロチンや絞首台は、一瞬で死ぬので、命を奪うという以上の意味を持たない。こうなると、命を奪うことの意味そのものが問われることになり、今やそれに十分に答えるのは難しい。これに対し、穴つるしは、死にどのような意味も与えないことを主眼としており、そうした問いに答えるつもりはもとよりない。


   


人手です。

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